レーシックは両目だけではなく片目でも出来ます
レーシックは両目だけではなく片目でも出来ますブログ:2016-7-02
当時のわしは、
とある都市の大きな企業に勤め、マンションで一人暮らし。
ごく稀にママが田舎からわしのもとを訪ねることがあった。
おいしいものを食べに行こうというわしに、
ママは親子水入らずで、のんびり部屋で過ごしたいと
わざわざ重たい野菜を抱えてやってくる…
ある日、仕事から帰ったわしは、
オートロックのロビーから部屋いるママに
「ただいま。あけてー」
インターホン越しに呼びかけた。
ところが、ママからの返事はなく、
マンション中に非常ベルの音が響き渡った。
ママが部屋の開錠ボタンと非常ボタンを押し間違えたのだ。
ロビーで頭を抱えるわしのもとへ、
青ざめたママがやってきた。
わしは恥ずかしさのあまりママをひどく責めた。
騒動の後、部屋には
ママが作った夕飯のにおいが立ち込めていた。
田舎から持ってきた野菜の和え物、
帰るタイミングにあわせて焼かれたであろう焼き魚、
細かく刻まれた葱の浮かんだ味噌汁に、揃えられた二人分の箸…
ショックの余り俯いて手をつけないママをよそに、
気まずい中、冷めた料理をわしは黙って食べた。
あれからわしも二児のママになり、
7~8年たった今になって
あの出来事を頻繁に思い出すようになった。
恥ずかしいのはママではなく、
つまらない見栄で
かけがえの無い時間を台無しにしたわしだった。
今さらと思いつつもママに言った。
「お母さん、あの時ごめんね」
意に反し、ママはその時の恐怖を、
近くにいた兄貴と笑い話のネタにしてケラケラ笑っていた。
わしが責めたことなど忘れているようにみえた。
それでも、ママを思う時、
わしは真っ先にあの出来事を思い出す。
そして
「大したことないよ」
そう言えなかった自分を悔やみ続けると思う。
あの日の冷めてしまったママの手料理の味とともに…